どん底まで尽くす女が我に返った瞬間⑤

どん底まで尽くす女が我に返った瞬間①

2019-04-14

どん底まで尽くす女が我に返った瞬間④

2019-04-18
登場人物
ユウキ…猛アピールで私の心を奪った割に、恋人という関係にはしてくれない。

HANA…私の親友。合コンでヤッチンとユウキと知り合い、私に紹介してくれた。面倒見がよく、とても優しい!!

ヤッチン…ユウキの先輩。HANAと気が合うようで良いカンジに見える。

 

全てが終わってしまえばいいのに

はじめて付き合った彼との終わりは、私から切り出した。

年齢的にも本気で結婚を考えていたし、フリーターで遊び歩いていた生活スタイルもきちんとしたかった。
けれど、彼はハッキリ「まだ遊びたい」と言い切り、別れに反対を示して話は「保留」。半年以上の時間を要して答えを待った私が詰め寄ると「あぁ、もういいよ」で終了。

後になって、「3年前から浮気していた」という事を、その浮気相手から聞かされた上に嫌がらせに合うという、貴重な経験をさせて貰った。

唐突に何が言いたいかというと、私にとって「浮気」は実害のあった罪である。

でも、被害者で在る私は、加害者である彼らを責めきれない。

私は自己肯定感が低い。私の思考はすべてを恨むことよりも、自分を責めることの方が上手いし、はるかに楽なのだ。

よって浮気とは「される側に罪がある」と私は思っていた。

自分に魅力がないから、彼の気持ちが他へ移るのは仕方がない。

彼の心をつなぎとめる努力を怠った、私自身が悪い。

悲劇のヒロインになりたくなかった私が、精一杯に自分を保つために。
こうして自分を責めて、自分自身が魅力的に生まれ変わるしかやりきれなかったんだ。

嫌がらせしてくる相手の女性にムカつきもしたけれど。

私がもっと魅力的で、包容力溢れる女性であったなら…
彼女だってそんな低俗な行為に走らなかったかもしれない。

そう、思い込むことで、前向きに自分を支えてきた。

言葉を探すHANAの表情に
自分が保てる気がしない…

抱えた秘密

しばらくの沈黙のあと、HANAはゆっくりと私を見つめて語り出す。

「あのね、私が事故に遭った日…あの時からユウキの秘密を共有してる」

秘密ってなに?結論だけ言ってよ

「あの日、事故が本当に怖くて、運転できる状況じゃなくて、どうしようもなくなってヤッチンに連絡したんだけど。出なくて、ユウキに助けを求めたのは、本当にゴメン」

謝られても、その後に共有しているという事実が許せない。
何を言われるのか、物凄い速さで思考が巡り、HANAの表情からデータを集める。

「それでね、寒さもあって、現場が近かったからユウキの部屋に上がらせてもらったの」

はぁ?!

私もまだ、入れてもらったことがないのに。
HANAがあげてもらったってどういうこと?なんで?何様?

見にくく歪む私の中。

熱くなる、荒ぶる。

制御が利かない。



「…でね、知っちゃったの



ユウキには彼女が居るの」




グルグルと渦巻いていた真っ黒い嫉妬の感情が、行先を失う。

あ…え?

「部屋に、彼女と撮った写真が飾ってあって、何か問い詰めたら…」

HANAの声がぼんやりと、一枚の膜を隔てて聞こえる。

「私、知らなかったの。合コンの時も、ちゆに紹介した時も、周りもなにも言ってなかったから」

HANAは、私の反応をみながら言葉を続ける。
私はまだ状況を理解できていない。

「待って。だって、もう2週間以上も前の話だよね?その間にもみんなで一緒に遊んでたよね?」

声を発して驚いた。いつも通りに会話しているつもりなのに、自分の耳に届いた声はひどく低く、HANAを責めるように鋭い。

「…すぐに、教えたかった。でも、ユウキに口止めされてた」

「一緒になって、騙してたの」

「ちがう!ユウキは、彼女との事で悩んでて…」

家に上がったコトがきっかけで、HANAはお互いの弱みを握りあうような関係になったと弁解する。
意地悪く、時には甘えて、上手に立ち回るユウキが、言葉巧みにHANAを共犯者にしたというイメージに納得できた。

事故の後から、ユウキはHANAになんでも話す様になったらしい。
最大の秘密がバレて、気を許したみたいだ。
そしてHANAは、私に黙っている代わりに、精一杯サポートしてくれていた。

話によると、ユウキは一年半付き合っている彼女とは、腐れ縁のように感じているとのこと。
長く付き合っている事で情があるけれど、今は私に夢中になっていて、別れを切り出そうとしている所だったそうな。

「別れるって決めた…、そう言ってたから、黙ってた。

私は、ちゆに幸せで居て欲しくて

HANAは、私からの相談を聞いて、隠し事に心を痛めながら…ユウキの彼女と私の間に揺れる相談も受けていたという事で。
自分の恋にも必死だった彼女が、どれほどオーバーワークであったか察してしまった。

自分の感情を置き去りにして、こんな風に私を思ってくれる親友に涙が溢れた。
もし、私がHANAの立場だったらどうしていただろう?そんな風に考えて、心を痛めていた彼女に眉が下がった。

「…でも、ごめんね。私になんでも話せると言ってくれたちゆに、ウソをついていることが耐えられなかった。こんな形で、バラしてしまって本当にごめん。本人の口から言わなきゃいけない事なのに…」

私とユウキが一線を越えたという話で、HANAはより心を痛めていた。
もっと早く知らせていれば、私が間違わなかったかもしれない、と。

2人で涙を流した。

親友にこんな思いをさせて、全く気付かなかった自分が恥ずかしかった。
そんな私でも、大切に思ってくれたHANAに感謝でいっぱいだった。

たくさん疑ってしまったこと
たくさん妬ましく思ったこと

黒かった感情が涙に洗われて、少しスッキリとした。

肩すかし

HANAへの疑いが晴れて、お互いのしこりも無くなった。
そこで、やっと、本来の問題に向き合う。

しっかりと泣いて発散したので、思った以上に冷静だ。

「彼女が居ながら、あんなに言い寄って来たの?」

「なんかねぇ、ちゆが可愛くて仕方ないらしいよ。相談の内容もほどんと惚気だし。電話の途中でちゆからLINE来たらデレデレと自慢してくるし」

「なにそれ!二人で電話してるとか聞いてない!ズルい!」

「…その反応がさ、似てるんだよね。お互いそんなに好きなら二人で勝手にやって欲しいんだけど」

私の知らない一面を知っているHANAには、やっぱり嫉妬する。
でも、私の知らない所で、私にメロメロなユウキの話を聞くのは気分が良かった。

って、違う。そうじゃない。

浮気は認められない…!!

残念なくらい、ユウキが好きだと染みついている自分が嫌になる。

私は自分の経験から、浮気が許せなかった。
自分が最低のひとでなしなら、もっとシンプルに「浮気される女がバカなんでしょ」とか開きなおれるのに。
彼女の気持ちを考えてしまえば、「誘惑する私が悪い」としか思えなかった。

誘惑した覚えはないんだけど。
ユウキが勝手に好きになってアピールしてきたんだけど。

「…なんにせよ。おしまいにする。私は人から奪ってまで、幸せになれない」

どんなに自分が幸せでも、陰で泣いている人がいるなら、それは幸せじゃない。
奪ったら、奪われる覚悟をしなければならない。
そんな気が気じゃない生活いやだ。

こんなに誰かに夢中になって、愛情を注ぐことはないと思ってた。
そんな相手を諦めるなんてカンタンに出来るだろうか。

「幸せ…だったのにな。ひどいな。裏切るくらいなら、好きにさせないで欲しかった」

連想ゲームのように、ユウキへの想いが溢れてくる。
このまま一緒にいてもツラいコト、離れてもツラいコト、知らないままが良かったと、どうしようもない気持ちでぐちゃぐちゃになる。

「ねぇ、ちゆ…いい?」

HANAをそっちのけで気持ちの整理をしていたら、控えめに声をかけられた。

「あのさ、ユウキから、めっちゃメール来てるんだけど…」

彼女は今日、合流する前に、カミングアウトすることをユウキに宣言していたらしい。
それについての抗議や、私の反応を探るメールが何通も届いて居た。

「ユウキさ、仕事の定時が17時なんだよ。でも、18時~19時くらいにかけて彼女と電話するから合流が遅くなるの」

HANAは、たいそう面倒くさそうにぶっちゃけた。

「今、多分彼女からの電話くるの待ってんだけどさぁ…ちゆ、電話して呼び出してみて」

煮え切らない態度に腹を立てていたHANAが、ユウキの曖昧さにはもう付き合い切れないと一石を投じる提案をする。

「…それで電話をとるなら、誠意も何にも感じずにぺイッて忘れらるよね」

サヨナラするなら、キッカケを作って終わりたかった。
というか、私はあまり思考が回っていないから、言われるままに電話する。

私からの着信の間に、HANAの方へメールが行った。

「ちゆから電話きてるんだけど!!」

こっち側は、めちゃくちゃ冷めてますから。

「出なかったら、ブロックするって」

HANAからのメールにヤバいと思ったのか、3回目のコールでユウキとつながる。

「…こんばんわ。お元気ですか?」

「今、HANAと居る。すぐに来て」

「あ、はい~…」

よそよそしいユウキの声が、他人のものみたいで気持ち悪い。
電話口で何か言っているけれど、まったく私は受け取れなくて。無言のままHANAにパスした。

案の定、彼女との電話の時間だからと言っていたようだけど、HANAがきつく言ってくれて話がまとまる。

ユウキに会えるのに、嬉しくないのは初めてだった。
ここ1か月ちょっとの間に、私の全てだともいえるくらいに膨らんだユウキに彼女が居ると聞いて、涙も出ないことに驚いた。

あー…すごい夢中になってると思ったけど、こんなもんか。

なんだか自分の感情に肩すかしを喰らったよう。

これから、サヨナラするのかぁ。

予想外の修羅場

思った以上に早く到着したユウキは、悪びれずに座った。

私に何か言うでもなく。
ただ、現れて、ソワソワと、私の向かいに座った。

「なにか、言う事ないの?」

「…、ない、かなぁ。いいよ、言いたい事言って」

ムカつく。
なんだろう。


ムカつくッ!!

どんな態度で現れるんだろう、という想像はしていた。
していたけれど、コレは予想の斜め上をいく反応だ。

「…騙してたんだね。私、真に受けちゃって、バカみたいだったでしょ」
「いや…?可愛いなって思ってたよ」

「彼女に悪いと思わなかったの?」
「思ったよ。だから、ちゃんとしようと思ってた」

「じゃあ、なんで、抱いたの」
「…っ、ごめん」

お話にならない会話のなかで、一番キツかった。
もっと、謝るタイミングなんてあったよね?
それなのに…そこで、謝るんだ。

そもそも、ユウキと関わるコト自体が悪いコトだったのに。
気持ちが通じたと思って、一番幸せに感じた瞬間を謝られた。

言葉にならないくらいに、 嬉しくて、温かくて、柔らかい光に包まれるような幸せを感じていたあの瞬間が、否定されたみたい。

「ううん。いいよ。ごめんね。私も聞かなかったから、おあいこだよね」

引き裂かれたみたいな衝撃だったのに、感情が壊れたのか涙がでない。
それどころか、ひどく冷静に微笑みさえ浮かべている自分がいる。

「言いたいこと、ね。
彼女さんに、申し訳ないコトしちゃったなって思ってる。
ユウキと一緒に居て、すごく楽しかったよ。5個も年下なのに、付き合ってくれてありがとうね」

ムリして大人ぶったとか、そういうんじゃなかった。
頭の先が冷え切ってて、感情がついてこない。

「あ」

私の言葉にユウキが反応した。
なに?と首を傾げて先を促したら

「俺、もう一つウソついてたことあるわ。
今年、24って言ってたんだけど…21なんだ」

21歳…!

私が今年30歳になるから…9個もしただったのかぁ。
逆に、良くこんなオバサンに興味もったよね。勇者だよ。さすがだよ。

このタイミングで年齢なんて

至極、どーでもいいけどね!!

「そっか。もう、何を隠されてても驚かないや。」

ニッコリと、張り付いた笑顔で答えられた私はえらいと思う。

「あのね。私は元カレに浮気されたのに気付かなかったんだけど…裏切るのって良くないよ。楽しかった思い出も、好きって思ったことも、全てがウソだったみたいな記憶になっちゃう。だから、別れるならきちんと別れて、良い想い出はキレイなままにしてあげないと。好きだと思ったら、絶対に、ウソでも、別れるなんて言っちゃダメ。ユウキはいい男だと思ってるから、後悔しないでね。彼女と幸せになって欲しい。こんな形になっちゃったけど…

ユウキとご縁があったこと、嬉しかったよ。ありがとう

とてもキレイな言葉で説教してやった。(と、私は思っている)

静かに聞いていたHANAは、私が優し過ぎるといって追加の説教…というか、小言を続けた。

ユウキは駄々っ子のように、HANAに向かって私と離れたくないことを訴える。

顔を見るまでは、頬を引っぱたいてやりたかったのになぁ。
なんか、こんな感じで終わるのか。
爪痕残してやりたかったけど、すっかり折られたし引き下がろう。

2人のやり取りを遠くに感じながら、自分の中でそっと幕を引いた。

好きになって、ごめんね

話もひと段落したので、店を出ることにする。
このまま車に乗ればおしまいだ。
ありがたいことに、後ろ髪を引くモノは何もない。

HANAが運転席にのりこみ、私も助手席へ座ってドアを閉めた。
うっすらと雪が積もり、道路も車も白く染まっている。
慣れない冬道を運転して帰ることに、少しだけ緊張した。

車を出そうと思った時。
ユウキが寄って来て私の窓をコンコンと叩く。
窓を開けろとジェスチャーで訴えた。

私は何かと思って窓を全開にして首を傾げる。

と、

伸びて来た手の平が後頭部を包み

力強く引き寄せられて唇が重なった

さすがに驚いて抵抗したけれど、両手でおされられると敵わない。

なんで…

理解できずにかき乱されて

離れたユウキの顔は今にも泣きそうに歪んでる。

好きになって、ごめんね

愛しそうに私の頬を撫でる手が震えていて
最後に頭をポンと撫でる。

「ありがとう、さよなら」

私が、震える声で続けると、ユウキは背中を向けた。

振り返ることなく自分の車に乗り、帰って行った。

視界から居なくなった途端に、涙が溢れて嗚咽が漏れる。

HANAはそっと窓を閉じ、冷え切った車内を暖めるように暖房を強くする。
ゴオーという音で、声が紛れて救われる。

そんなところ、謝って欲しくなかった。
あんなに辛そうな顔で、キスして欲しくなかった。

自分では何も言わずに、こんな風に感情だけ振り回すなんてズルい。

ズルくて、誠意も無くて、彼女にも失礼で、ウソつきなのに。

それでも好きだと思っている自分が信じられない…!

次々に溢れてくる涙をどうすることも出来ず、脈絡も無く言葉にしてはHANAが静かに話を聞いてくれる。

ひとしきり泣いて、HANAが泊まりも提案してくれたけれど、私は自力で帰るコトを選んだ。1人に、なりたかったから。

そこから先の記憶はない。

ただ、ものすごく集中して帰宅したことだけ覚えている。
あんな精神状態で、無事に帰った事を後でHANAが褒めてくれた。

信じられないのは、次の日の朝だ。

いつも通りにユウキからLINEが来た。
状況が飲み込めず、無視をすると今度は電話。

何度も何度もかかって来るので、無視しきれず無気力のまま出てしまった。

「ちゆ!今日、これからそっち行くから!飯食おう」

昨日の一件が夢だったのかな?と
錯覚してしまうほどに、普通に誘われた。

というか、いつも以上に積極的に誘われたんだけど…。

「電話でないから、もう着くよ!はやく支度して!!家の前で待ってるから」

急かされるまま私は準備を整えた。


ひと段落したハズなのに、誘われて出掛けちゃバカが通ります…(lll゚ω゚)

どん底まで尽くす女が我に返った瞬間①

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